2014年にオックスフォード大学のオズボーン氏により著された『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文は、労働市場や産業界に大きな衝撃を与えた。
著書によると未来の雇用に最も大きな影響を与える要因はテクノロジーの発展とのことである。
その他、大勢の社会学者がテクノロジーが未来の仕事を変化させると予測している。
オズボーン氏の論文では、700以上の職種についてコンピューターに取って代わられる確率を試算している。
つまり、コンピューターや人工知能、ロボットなどに仕事を奪われる職種を予想した論文と言える。
人工知能やインターネットの技術の向上により、コンピューターやロボットが人間に類似した作業内容を行うことが可能になってきている。
現時点でも、既に仕事の内容によっては、コンピューターの方が人間より精度の高い作業ができる。
Ex 会計処理・仕分け作業等
今後は、オンラインやホログラムを活用した会議や技術指導、物体に埋め込まれたセンサーから様々なデータを読み取り業務や作業の効率に生かす仕組み、瞬時翻訳アプリなどが世の中の仕事のスタイルを変えていくことになる。
オズボーン氏の論文において、近い将来になくなる仕事として次のものが示された。
スポーツの審判
レストランなどの案内係
電話オペレーター
レジ担当
弁護士助手
受付係
データ入力係
経理事務係
などの仕事がなくなると予想されている。
一方で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は近い将来になくなる仕事ではなく、未来でも仕事として存在すると予想されている。
では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は未来永劫に渡り、職業として安泰なのだろうか?
答えはNoである
近い将来の医療や介護の現場には、ロボットや人工知能などのテクノロジーが身近に存在しており、それらを有効的に活用して、今より数段上の生産性が求められる。
リハビリテーションの現場では、歩行、筋力トレーニング、学習、関節可動域、高次脳機能障害を支援するロボットやコンピューターソフトなどが普及しているだろう。
それらのテクノロジーと同じようなことしかできないセラピストは間違いなく淘汰されていくことが予想される。
2016年度診療報酬改定では、初めて歩行支援ロボットに診療報酬が認められた。
つまり、セラピスト以外の職種がロボットを装着さえすれば、診療報酬が算定できる時代になったと言える。
視点を変えれば、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとって、歓迎すべき要素もある。
ロボットやコンピューターソフトを作成する
ロボットやコンピューターができない評価や治療ができる
ロボットやコンピューターの適応を見極めるなど
より高次のリハビリテーションプログラムを立案、提供できるセラピストは間違いなく生き残る。
また、ロボットやコンピューターを使うことによって、余った時間からより、創造的なサービスを展開することもできるだろう。
生き残れることは、良いこと。しかし、それだけ、質も求められるということ。 生き残れる仕事だからこそ、サバイバルは加速する。